近年、世界の環境関連の法規制は厳しさを増し、なかでも化学物質に関する規制は、1992年のリオサミットを皮切りに、21世紀に向けた化学物質管理の方向が示され、2002年のヨハネスブルグサミット(WSSD)で、「2020年までに化学物質の製造と使用による人の健康と環境への悪影響の最小化を目指す」との具体的な目標が採択されました。この世界的な潮流を受け、欧州では2003年にRoHS指令(2006年7月施行、2011年7月改正)、2006年にはREACH規則(2007年6月施行)が公布されました。 製品に含まれる化学物質(含有化学物質)の管理の強化(情報収集および情報開示)が厳しく要請され、企業には具体的な行動が求められるようになってきています。弊社は、このような社会の要請にこたえ、常に一歩先行した化学物質管理の対応を目指し、会社全体で製品含有化学物質管理に計画的に取り組んでいます。
近年、EU RoHS指令を始めとしてREACH規則等、製品含有化学物質に関する規制の動きが加速化し、化学物質管理に関する重要性が高まっております。 弊社では、改正RoHS指令にいち早く対応すべく、2018年1月より自社禁止物質にRoHS10物質を指定し、業界に先駆けて改正RoHS指令に適合した製品をお客様へ提供でるよう取組みを行って参りました。また、経済産業省が開発した製品含有化学物質情報伝達スキームであるchemSHERPAに対応可能な製品を増やし、お客様の要求に可能な限り対応できるよう取り組んでおります。
1)設計・開発段階 新規開発品においては、有害化学物質の含有リスク低減を考慮した形状、材料選定を行っております。 材料につきましては、既存品で使用実績のある有害化学物質を含まない材料を選定し、新素材を選定する際には、事前にメーカーへ有害化学物質の非含有であることを確認しております。
2)サプライヤーの選定 弊社では、品質・納期・コストに加えて環境(化学物質管理)についても重要度を高めてサプライヤー評価を実施しています。新製品立上げの際、新規サプライヤーにおいては、上記評価結果を基に弊社基準を満たしたサプライヤーへモノづくりをお願いする仕組みを構築し、サプライヤーとの共通認識で新製品の立上げを行なっています。
3)新製品の安全確認 新製品は、量産初回前に自社保有の蛍光X線分析装置にて、弊社基準を満たしているか事前確認を行っております。また、禁止物質の含有リスクの高い材料については、必要に応じて第三者機関への委託分析を行ない弊社基準を満たしていることを確認しております。
弊社は、すべてアウトソーシングでモノづくりを行っているため、サプライヤー管理が重要になります。国内企業のお客様からchemSHERPAの要請が増加する中、サプライヤーへ化学物質調査への協力要請とchemSHERPAの作成能力向上を図るため、協力工場へ出向いて現場担当者へ教育支援を実施しています。 教育支援の様子 支援活動を通じてコミュニケーションを図ることで、お客様の要求事項や化学物質調査・管理の方法、現場の状況などを取引先と共有し、化学物質管理体制の強化に努めております。
①エネルギー分散型蛍光X線分析装置(XRF)/日本電子製JSX-1000S 世界的に地球環境の保全が叫ばれる中で、RoHS指令に代表されるような化学物質管理に対する取組みがメーカーの責務となって参りました。このような動きの中で、弊社では、製品受入段階で、蛍光X線分析装置(XRF)を用いて、部品に有害物質が含有されていないことをスクリーニング分析にて確認しています。
②共立理化学研究所 パックテスト/6価クロム WAK-Cr6+(簡易試験) 弊社製品に施されるクロムめっきには原料としてRoHS指令禁止物質の六価クロム化合物が使用される場合があり、残留物は皮膚の炎症を始めとする健康被害の原因となります。 栃木屋はRoHS指令適合、並びに安全な製品をお客様へ供給するため、受入検査にて簡易検査キット(パックテスト)を用いた熱水抽出ージフェニルカルバジド吸光光度法試験(IEC-62321準拠)を行い、有害物質が残留しないことを確認しています。